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保育士の方へ

歩行への準備。四つ這い移動(6~9ヶ月)

6ヶ月頃になると仰向けやうつ伏せの姿勢で、頭、左右の腕や足をコントロールできるようになります。またうつ伏せの姿勢では両手で身体を支えながら頭を上げ続け、視線を前に向けることができるようになります。

これにより物をしっかり見ることができるようになり、見える物、聞こえる音から注意を向けていたのが、自分の意志で物を見る機能が高まるようになります。

この興味に基づく追視機能の発達は玩具のある位置に腕をコントロールして手を伸ばしていくなどの運動と方向、距離、大きさといった空間知覚の情報を結び付けて身体を動かしていくことを促進します。

このようにうつ伏せは自分の意志で環境を捉えやすく、赤ちゃんにとってとても重要な姿勢になります。

うつ伏せ

うつ伏せでの活動が活発になると、ピボットターンと呼ばれる左右に身体の向きを変える運動がみられます。

この動きはハイハイやお座りの発達に繋がるもので、お腹を軸に円を描くような運動になり身体を引き寄せる手の動き、顔を向いている側の股関節と膝関節が曲がり足の指で床を蹴るような動きをします。

これにより方向の異なる玩具などに興味を持ち対象物に手を伸ばしていきます。

また頭を回旋したり曲げたりといろいろな方向で運動が起こり、それに連動して腕や肩甲帯にも荷重の角度や量が変わりながら身体を支えるようになります。

ずり這い

このような動きを繰り返していくうちに、「あれで遊びたい!」と目標にした玩具等を求めて、片側へ体重を移動させた姿勢で手を伸ばし届かないと身体を起こしながら足を曲げ、さらに足の指で床を蹴りながら重心をおもちゃのある方へ移していきます。

今度は手を置き替えながら同じ動作を行います。

この連続をすることでずり這いが始まります。

この時期の関わりは赤ちゃんがうつ伏せの姿勢でも良く見える位置に興味を引く玩具等を置いておくことで、赤ちゃんの移動したい意欲を引き出しましょう。

最初は手を伸ばせば届く位置におもちゃを置き成功体験を積みながら達成感を持たせ、少しずつ距離を離す、前や横に置くなどをしながら遊ぶと良いでしょう。

またずり這いが安定したらマットの上や大人の身体など、いろいろな場所を乗り越える経験をさせながら一緒に楽しみましょう。

ロッキング運動

うつ伏せでの運動を繰り返すうちに、うつ伏せの姿勢から股関節を曲げて左右の腕の力で身体をプッシュアップし四つ這い位の姿勢をとることができるようになり、7カ月頃にはロッキング運動と呼ばれる前後左右にユラユラする動きを行うようになります。

このロッキング運動を繰り返すことで腕や足に体重が乗る感覚を入れながら試行錯誤をしてハイハイの準備をしていきます。

また四つ這い位で手のひらに体重負荷をすることは、手の中にある細かい筋群を使うことや指を伸ばすことに繋がり手を機能的に使うことへの発達にも影響していきます。

こうした運動経験を繰り返しながら体幹が安定し股関節や肩回りの筋肉で身体をしっかり支えられるようになります。

ハイハイへ

そして四つ這いで片手を伸ばし玩具を取るなどの動きを通して体幹を回旋させる動きを促し、手足を交互に動かすハイハイへと発達していきます。

ハイハイは身体を動かす軸となる体幹を安定させる重要な姿勢になります。

ハイハイからすぐにつかまり立ちへ移行する赤ちゃんもいるので、しっかりハイハイさせることが大切です。

身体が軽く動きが早い子は同じ姿勢を安定して取り続けることが不十分になりやすいので、保育者が赤ちゃんの足を持ち手だけを支えにして進む手押し車やお布団で坂を作りハイハイで登るなど、ゆっくりと力を入れ続けて手足に荷重をかけ姿勢を保持する遊びを行うと良いでしょう。

井上綾乃

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