仰向けやうつ伏せ抱っこなど様々な姿勢を経験しながら首のすわりが安定すると自分で上手に頭の向きをコントロールできるようになります。それに伴い首の筋肉の動きによる反射で無意識に動いていた腕が徐々にコントロールできるようになります。
また目の焦点が合うことで物をしっかり見られるようになり、おもちゃや保育者への興味を示すと手を伸ばし掴もうとします。このような能動的な運動の経験を積むことで反射的に動いていた身体を意識的に動かせる身体に変化させていきます。
寝返りの準備
仰向けの状態で手足をバタバタさせて遊ぶことも増え、足を床にこする様子がみられます。
床に足をこする運動は左右の重心移動となり自分の身体の真ん中を意味する正中軸ができている目安となります。また足を持ち上げる動作をするようになり寝返りの準備に入ります。
この時期は首をコントロールしながら自分の手を操作できるように姿勢を整えてあげることや、赤ちゃんが「おもちゃで遊びたい」、「お母さんに触れたい」などの外界への興味や意欲を引き出すことが大切です。
首が反らないような位置におもちゃ置くことや保育者の顔を見せることで顎を引きながら首をコントロールすることができ肩甲帯が動きやすくなります。
また腹圧が高まり体幹に力を入れやすくなることで足を持ち上げる運動を起こしやすくなります。足を持ち上げる時に骨盤まで上がることができれば寝返りはもうすぐです。
骨盤が上がらない時は足の先に靴下を付けて取る遊びや保育者が骨盤をサポートしながら足を持ち上げる経験を積んでいきましょう。
また保育者の見守りの中で横向きの姿勢やふれあい遊びの中で骨盤を持ちながら体をひねる動きを入れていきましょう。
うつ伏せ
うつ伏せでは肘で体重を支えられるようなり手を使えるようになります。
これによりうつ伏せで遊ぶ時間が増え体重を支える肩甲帯や体幹の筋力が育ちます。
うつ伏せでは対称的に体重を支えられるようにし、支えが不十分な場合はクッションや保育者が支えてサポートしましょう。
うつ伏せで遊ぶ中で左右の重心移動を繰り返しながら正中軸を中心に身体を動かすようになります。またエアープレインというお腹を軸にして身体を反る動きが見られてきます。
これらの動きも寝返りへ繋がる運動になります。
寝返り
仰向けやうつ伏せの前後の動きを繰り返して体を動かしている時に偶然横に重心の移動が起こりコロンと転がり寝返りを経験します。
この経験から寝返りをしたい意欲を持ち何度も身体を動かして寝返りに挑戦することで動作を獲得していきます。
寝返りは身体の正中線を超えて身体を捻る動作になります。
首や肩甲帯・体幹の積み重なった筋力と両手足の協調運動で、頭や身体の位置関係が非対称になることで各感覚が働き体の対称性を保とうとする立ち直りの動作となります。
寝返りを獲得することで自由に姿勢を変換しうつ伏せの姿勢をとることができるようになります。
うつ伏せの姿勢が増えることで肩甲帯や体幹の支持性が向上し手のひらで体重を支えることができるようになり重心が骨盤の方へ下りていきます。
また視界が拡がることで空間の奥行など2次元から3次元の世界を経験し外界への興味関心がさらに拡がり移動する意欲へと発展していきます。
執筆者 理学療法士 山田 光沙子