無意識に動く身体の段階
産まれた時の赤ちゃんは地球の重力に逆らうだけの筋力がないため、自分で自由に身体を動かすことができません。
またお母さんのお腹の中には存在しない様々な刺激にさらされます。体を伸ばす筋肉よりも丸める筋肉の方が優位に働いており一番重い頭を支えることができません。
産まれたての赤ちゃんには原始反射と呼ばれる様々な刺激により無意識で反応する反射動作や、ジェネラルムーブメントと呼ばれる目的もなく手足をバタバタ動かす動きが見られます。
原始反射の中枢は脊髄や脳幹など原始的な脳に存在し探索反射や吸啜反射と呼ばれる母乳を飲むための生命の維持を図るものや、手のひらに触れる物を握るしめる手掌把握反射など外界との関わりを生み出していくものがあり、これらが発達の土台となります。
原始反射は目的を意識して体を動かすことが増えていくと徐々に消失していきます。この時期は寝ている姿勢が大事になります。いろいろな姿勢で落ち着けるように体を丸めるようなCカーブを作る姿勢や、左右対称になるようにクッションなどで調整すると良いでしょう。
下界へのつながりが芽生える段階
1~2か月経つと全身を丸める筋肉が緩んできます。
この頃から動く物を目で追う追視が始まり、少しずつ自分の意志で首を動かせるようになります。
またうつ伏せで首を上げようとする動きがみられてきます。
頭を支える筋力が育ち外界への興味が拡がる繋がることで少しずつ首をコントロールできるようになります。
保育者が赤ちゃんと目を合わせて抱くことや目が合いやすい向きや距離から話しかける事や、メリーなど音や光の刺激があり興味を引き出すおもちゃを使い追視を促すと、追視に伴う首の動きが生まれ首のすわりへ繋がります。
赤ちゃんが自分の手のひらや握りこぶしを眺めているハンドリガードと呼ばれるものが2か月ごろから見られてきます。ハンドリガードは手と目が合い赤ちゃんが自分の手を認識し始める時期に起こるしぐさです。
また胸の前に両手を持ってきて指先を合わせる運動もみられます。これにより対称性が生まれ自分の身体の正中軸が出てくる始まりになります。正中軸の芽生えが寝返りへ繋がります。
保育者が遊びの中で手と手を合わせる手遊びなどを通じて手と手が合うこと手と目が合う経験を積むと良いでしょう。
執筆者:理学療法士 山田 光沙子