みなさん、こんにちは。
医療的ケアのある息子を育てる母、かしまです。
今回は私自身が当事者になるまで知らなかった「医療的ケア児」についてQ&A形式でご紹介します。
この記事は以下の方に特に読んでいただきたい内容になっています。
・これから必要になる医療的ケアの実態がよくわからなくて不安を抱くご家族
・現在入院中で、医療的ケアを行う生活が想像つかないお父さん、お母さん
・「医療的ケア児」という言葉は知っているけど、実際に会ったことがない皆さん
ネットで調べてもなかなか出会えない当事者の経験談から、医療的ケアの実態を知っていただくことで「不安」「怖い」「できない」といったネガティブな考えは変わってくると思います。
本コラムが医療的ケア児の子どもたちを育てるご家族・関係者のみなさんの支えになれば幸いです。
〜基礎知識編〜
Q:医療的ケア児とは?
A:人工呼吸器や酸素、胃ろう、胃管等を使用し、たんの吸引(気管切開によるもの)や、経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことです。
Q:なぜ医療的ケアが必要になるの?
A:生まれ持った疾患や障害とともに生きていくための支えとして、医療的ケアを行います。
中には成長の過程で医療的ケアが必要になる子もいます。
Q:気管切開をすると声が出せなくなるの?
A:「聞こえない」だけで声は存在します!
気管切開は、声帯の下に穴を開けカニューレを挿入しています。
カニューレは円柱状のチューブで、空気の通り道になります。
そのため、気管切開をした人が声を出す際には、本来息を吐く力で震える声帯を通る前にカニューレから空気が抜けていくため声が出なくなります。(稀に人工呼吸器をつけているけれど、声が漏れて聞こえてくるお子さんもいらっしゃいます。)
※喉頭気管分離手術の場合は気管を離断し閉鎖するため、声を出せなくなります。
気管切開をしながら声を出す方法として「スピーチバルブ」があります。これはカニューレに直接はめる道具のことで、吸う息は入ってきますが吐く息がカニューレから出ずに口から出る仕組みになっています。
そのため、発声方法の練習が必要にはなりますが、声帯を震わせて声を出すことが可能です。
~日常生活編~
Q:気管切開や胃ろうは体に穴を空けているけど、痛くないの?
A:ピアスの穴の感覚と同じで、一度ホールが形成されると痛くないそうです。
手術が伴うため術後の痛みはありますが、日常生活で痛みを感じることはないです。
Q:穴を閉じるときはどうするの?
A:一般的には自然に閉じます。
人間の治癒力はすごいもので、特に小児はカニューレを抜くと徐々に穴が小さく閉じていくため、「抜けたらすぐ入れる」が基本となっています。
Q:気管切開や胃管がある状態で口からご飯は食べられるの?
A:食べられます!
気管切開をしていても飲み込みはできるため、食事に影響はありません。
気管切開があると通常より香りを感じにくく、味の濃いものや甘いものを好む子が多いそうです。
胃管は喉に常にチューブが入っているため、飲み込みづらさがありますが食べられる子も多いです。
うちの子の場合は胃管を入れている頃は飲み込みが難しかったのですが、胃ろうにして胃管を抜いた後から飲み込みが上手になりました。
Q:胃ろうはお腹に出っ張りがあるけど、うつ伏せや運動はできるの?
A:できます!子ども自身も気にすることなく積極的に寝返りしています。
もし胃ろうを引っ張ったりして危ないと思う場合は腹巻きをしてあげると安全です。
次回はQ&A第二弾「家族を支えるサービス」「助成制度とお金事情」をお送りします。
本コラムの項目以外でも、医療的ケア児に関する皆様からの疑問・質問がありましたら是非ご意見をお寄せください。